真面目に「マージンコール」のレビューをします。
まずこの映画のソフト販売状況ですが、
日本版(DVDのみ)
・音声:英語、日本語吹替
・字幕:日本語のみ
・特典:オリジナル予告編、日本語字幕付き予告編
リージョン1環境のあるかた、PS3をお持ちの方には、
全力で北米版(とくにBlu-ray)をお勧めします。
なぜなら音声&画質の良さと特典映像の豊富さがケタ違いだからです。
ちなみに北米圏エリアからの場合、VOD版もDL可能です。
管理人はNIPPONの国産固有種ですが、あらゆる合法内の手を使ってこれを入手せんとしました。無理でした。
ちなみにこの映画はVODでのDL上映を行い、2011年のVOD興行収益で最高記録をマークしています。
(スマートフォンやタブレットの利用者が増えたことと、映画館に行く暇はないが公開中に早く見たい、
という忙しいサラリーマン層の利用が多かったようです)
北米版Blu-ray特典:未公開映像、メイキング映像+キャストインタビュー、監督コメンタリー
(監督コメンタリーには英語字幕がついておりません。CCにはあるかもです…)
マージンコールを見よう。~ご視聴のガイド~・マージンコール? 金融わかんないんだけど?映画「マージンコール」は架空の大手投資銀行を舞台にした24時間仕立てのスリラー。
2008年に起こった金融界1000年に一度の大惨事リーマン・ショックを下敷きに描かれています。
ではこれは、金融映画なのでしょうか。「ウォールストリート」のような金に飢えた貪欲な狼が
殺し合う様子を描いたサスペンスなのでしょうか。
いーえ、ちがいます。
・サブプライム問題やリーマン・ショックについて予習がなければいけないのか?
・経済、金融用語が飛び交うからにはバロンズ金融用語辞典でも買っておかなきゃならないのか?
・金融工学の理論が解る筈はないから、せめて金融工学者のエッセイを読まなきゃならないのか?
以上の3点は、ここの管理人が昨年すべて行った
無駄な労力 というものです。全然必要ありません。

ベタニー「知ってるか、ももぐみのやつ金融書籍10冊以上買ったらしいぜ」
サイモン「まじそれ、きもい!数学赤点だったくせに!」
ただの赤点どころか、数学塾に通っても赤点だったんだよ。並みの赤とコストが違うんだぜ。
ま。とはいえサブプライムとリーマン・ショックの経緯くらいは簡単に予習しとくと良いと思います。
全部ウィキペディアで十分です。涙を拭いていいですか。
「ウォールストリート(2011)」やBBCのテレビ映画「リーマン・ブラザーズ最後の三日間」では
サブプライム商品のしくみや、その破綻について実にディフォルメしてコメディ調に説明しているので、
あれを参考にしてもらうともっと簡単だと思います。
結論的に言えば、「マージンコール」という映画は、
ものすごく精密なサラリーマン映画 です。
ゆえにサラリーマン経験のある人なら男女誰でも、切なく遠い目をしながら「あー・・・わかるわあ」
と思えるだろうし、またそういう経験の無い方でも肩の荷おろして見れるライトな作品なんです。
余談ですがマージンコールが漫画化されるなら、佐々木倫子先生が適任だと思います。
2008年10月のある日。
ウォール街からは数十ブロック離れた34番街に位置するとある大手投資銀行。
その41階で、せっせと日夜、悪夢のように複雑な金融商品とそのリスク管理に精を出している
理数ヲタの専門職がいました。
「クオンツ」と呼ばれる彼らが魔法のように利益を産む天才たちともてはやされたのも今は昔。
サブプライムの破綻、景気の悪化で不動産証券部門にはリストラの大あらしが吹き荒れています。
そんな中、クオンツ部隊のリーダーともいえるエリック・デイルがクビに。
かれの弟子である入社2年半のピーターは退社するエリックからUSBメモリを渡されました。
それがマクロには1000年、いや金融誕生以来最大級の恐慌の序章であり、
またミクロには、その先24時間も風呂に入れないまま職場カンヅメとなる悲劇の引き金とも知らず・・・。*****
・たのしいマージン仲間たち。(キャラクター紹介)●いちおう主人公、落ち着きすぎて怖い。期待のルーキー
~ ピーター・サリバン ~演:ザカリー・クイント/この映画ではプロデューサー兼任
年齢:28歳。MIT(マサチューセッツ工科大学)卒業後、ペンシルヴァニア大学大学院で
宇宙物理工学の博士号を取得している。
会社ではエリック・デイル直属の部下として、リスク管理を担当。
専攻は「低重力下の航空機において摩擦が操舵装置に与える影響」というマントラだが、
なにごとも今北産業で済ませるジャレッドから「ようはロケット・サイエンティストなんだろ?」と
言われて「ま、そうっすね」と答えているので、つまり映画的にはわりとどうでもいい。
主食はコーヒーと鉛筆。
父親は眼科医。MIT時代の友人がサムの息子と起業して大儲けしているらしい。
未公開映像では元カノらしい女の子と話す様子があるが全カットされた。
●カリスマ部長。わんわんお命。
~ サム・ロジャース ~演:カイザー・ソゼ(ケヴィン・スペイシーともいう)
証券部門マネージング・ディレクター。けっこう偉い人。旧リーマンブラザーズ的に言うと、
この人くらいのクラスになると専用の社員食堂があってカクテルシュリンプが置いてあるほど偉い。
ヒラ社員の食堂にはフライドチキンと芋とチョコバーしかないと言えばどれくらい偉いかよくわかる。
メスの愛犬エラちゃんが不治の病に侵され、開始早々全米が泣いている苦脳のホワイトカラー。
トゥルド社長とは入社以来35年の戦友で、ジャレッドの天敵1号。肩身の狭い愛煙家。
●ニコチン中毒でワーカホリック課長。アフター5に理想の先輩。
~ ウィル・エマーソン ~演:ポール・ベタニー
むちゃくちゃ使えて上司にも後輩にも愛されてて宴会達人なのに、なぜか出世しないという
気の毒なタイプの典型。自分ではドライにシビアにやってるつもりだけど、根が善人。
そういうストレスをニコチンと女と車に全力投入している姿にシビレるぅあこがれるぅ。
ただし映画を見た全ブルックリン住民は敵に回していると思われる。イギリス訛り。
特技は指笛とシケガム(噛みかけのニコチンガムを仮置きしておくこと)
シケガムと言えば、他人の噛んだガムが大好きな困ったオーストラリア人がいるのでまさか今回m(規制
(※)サイモン・ベイカーの再生ガム事件とは。
「エレンの部屋」にゲスト出演したサイモンがテーブルの裏に貼りつけて捨てられていた
噛み捨てガムを口に入れスタジオの良識ある観客たちを阿鼻叫喚させた事件。あきらかに放送事故。●おれの重役がこんなにかわいいわけがない。
~ ジャレッド・コーエン ~演:サイモン・ベイカー
本作の
影の主人公にして脱ぎ要員。
ちなみにサラ役は当初デム・ムーアさんでなく、あのエロかわ女優カーラ・グギーノさんだった。
それでも脚本を見る限り、もとから脱いでいるのはジャレッドだけである。チャンダーは天才か。
若干43歳にして、証券部門最高責任者であり25,000人の同部門従業員のトップ。
超絶高飛車俺様エクゼクティブ、と書くとラノベのキャラ紹介文ようだが
コメンタリーで監督でさえ「ハイパー、ハイパー、ハイパー、エグゼクティブ」と表現してるんだから
それでいいんじゃないだろうか。
趣味は「ふぁっく」って言うこと、サラをいじめること、まけないこと、にげださないこと、信じ合わないこと。
伸びたヒゲは1ミリもゆるさない派。オフィスで盆栽を育てる繊細な一面もある。
老け専。とにかく社長が大好きだけど、社長からはそうも思われてないのが日々いらっとするので、
最終的にはかわいい年下に宗旨替えした。
なお映画が終わってみると、重要な決断は主人公でも社長でもなくこの金髪が全部やってたことに
ちょっとガクゼンとするような気持ちになる。
●名前はセスです、覚えてください。
~ セス・ブレッグマン ~演:ペン・バッジリー
名前はセスです。趣味は他人の給料を調べること。お笑い担当。
アフター5に飲む友達がピーターしかいないのに、当のピーターからは「わりとどうでもいい」と
思われているようです。ちなみに名前はセスと言います。
リスク管理部門でエリックの部下、ピーターより勤続年数がちょっと長いようです。でもタメぐちを
たたかれている上に、ちょっとウザがられているのは年下だからではなくKYだから。
全身からみなぎる存在の耐えられない軽さがウリ。
名前を覚えてくれないジャレッドのことを15のガキっぽいと批判しながらも内心はビックビクで
苦手扱いしているのに一番ジャレッドと合う回数が多いということでマーフィーの法則を実証した。
ジャレッドがセスの名前を聞き返す時「Peter,and・・・What is
FUCK'N his name?」
と言うんですが、このファッキン~ はサイモンのアドリブだそうで、監督もコメンタリーで
素晴らしい!と褒めていました。みずからFワード追加してえらいぞサイモンw
えっと、画像貼るの疲れてきたので他のメンバーはまずテキストだけ。
●紅一点、「だからいったじゃない」はNGワード。
~ サラ・ロバートソン ~演:デミ・ムーアリスク管理部門最高責任者(CRO)。部下にラメーシュというインド系アメリカ人がいる。
ジャレッドの部下だが、CROは職級にとらわれず発言できる立場にあるので言いたい事は言う。
どうやら子持ちのママさんエグゼらしい(オフィスに子供写真があり、ベビーシッターにメールを
打つような芝居がある)
ジャレッドとは常日頃から犬猿の仲のようで、特にモーゲージ債(不動産担保証券=サブプラもこの一つ)
の拡大販売に関してはジャレにかなり口酸っぱく注意していたようだ。
サムによると二人の喧嘩は「見飽きた」そうなので、けっこう何だかんだで痴話喧嘩・・なわけねーなw
●ゴールデンレトリーバー語で説明してくれ。
~ ジョン・トゥルド ~演:ジェレミー・アイアンズウォール街に君臨する金融トップの一人。もんのすごーーーーく偉い人。
どれくらい偉いかというと、この人の登場シーンのためにヘリのフライト映像を監督が予算取って
J.J.エイブラムスから借りてくるくらい。(なのに本編じゃカットしたけどね)
ジャレッドにとっての神。きっと次の座を狙っているのだが社長が彼を推薦するかどうかは怪しい。
「そのうちなんとかなるだろう」というサラリーマンの金言を地で行く人。行き過ぎとるわw
●橋ヲタ。
~ エリック・デイル ~演:スタンリー・トゥッチこの映画の日本版タイトルが「マージンコール! ~消えたHAGE課長と史上最悪の徹夜勤務~」という
ことでもおわかりのように(え)本編の冒頭で姿をくらますキーマン的存在である。
もともと橋梁設計のスペシャリストとしてその名を馳せる建築家だったが、
理数工学者の知識を見込まれてスカウトにあい、ピーター同様、高額報酬に釣られて本業を捨てた人。
ブルックリンの閑静な住宅地に家を構えているがローンらしい。(セスしらべ)
<その他のキャラ>・
カルメロ:警備部長。社員の尾行やらあらゆるアンタチャブルに従事する。なんか怖い。
・
掃除のおばちゃん:ステルス能力をもつミュータントだが、画面上は観客への配慮から姿が見えている。
・
その他取締役:翌朝アッセンブルした無敵のヒーロー「イエスマン」たち。
・
デビッド・ホーン:コンサルタント。セリフがないのにジャレッドが深夜に呼び付けた。
・
不動産証券部門のみんな:リストラに生き残ったと思ったら翌日会社に席が無かったでござるの巻。
えっと、次回でマージンコール特集は終わります。トリビアとか、もうちょっと映画の
ガイドを・・・・今回する気だったんだほんとうだよ。