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サイモン・ベイカー最新映画“I Give It A Year”レビュー

いい加減広告スレッドが立ってしまう前に更新しようと思います。
こんにちは、ももぐみです!

ついにサイモン・ベイカー最新出演映画“I Give It A Year”のBlu-ray(UK)
が届きました!
長らくこのブログを見るはめになってしまった皆様ならもうミミタコかと存じますが
レビューにあたってもう一度ご紹介しますね。

タイトル:I Give It A Year(日本語訳は「よくもって1年だね」)
初公開日:2013.2.8(UK)※2013.1.17にフランスで先行公開
監督・脚本:ダン・メイザー(「ディクテイター」、「ボラット」、「ブルーノ」)

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これはフランス版のポスター。

【キャラクター紹介】
■ナット=ナターシャ(ローズ・バーン)
ロンドンの大手広告代理店で企業向け広告の企画チーム主任を
勤めるキャリアウーマン。9か月前のパーティで偶然出会ったジョッシュと
恋に落ち、スピード結婚を果たす。スマートな行動が好きで見た目を気にするタイプ。
中産階級の恵まれた環境で育ち、マナーをわきまえた賢女だが得意技はワンワンスタイルのようだ。
鳩がだいの苦手。そんなに嫌わなくても。

■ジョッシュ(レイフ・スポール)
弱小出版社に所属するライター。小説も書いているが全く売れない。
衣食住に頓着がなく、つるむ仲間も下品でざっくばらん。
普段はものおとなしいがバドワイザーを1本飲むと所構わずビヨンセダンスを披露する。
文系のくせに渡辺直美にも劣らぬイイ動きをするのだが、
ガイからは「透明人間のゲイに尻を犯されているみたい」と評されている。

■クロエ(アンナ・ファリス)
ジョッシュの旧友であり、出版社では編集をつとめる仕事仲間でもある。
海外の貧困問題や紛争問題に取り組む社会派・庶民派のライター。
32歳彼氏なし。オシャレは苦手で、中近東の料理やジャンクフードを好む。
じつは数年前にジョッシュと・・・

■ガイ・ハープ(サイモン・ベイカー)
アメリカに本社を置く石油化学会社の三代目社長。
企業イメージ若返りを図り、ナットに企業広告のリニューアルを依頼する。
御曹司ながらその地位に甘んじず、オックスフォードの経営学教授のもとで学び、
父親から受け継いだ帝王学と経営理念のもと、天下御免のホワイト企業として
会社を発展させ続けている。
中の人がサイモン・ベイカーなので当然モテモテイケメン扱いなのだが、
あまりにも仕事にストイックな性格と、結婚願望の強さからいまいち良縁に恵まれない。
女性の気を引くためにかわいい動物を持ち出す癖がある。ハトに対する耐性が強い。

■ダニー(ステファン・マーチャント)
ジョッシュの悪友。空気が読めなさ過ぎていっそすがすがしい屑。
しかし言う事がたまに核を突いている。

<あらすじ=8割がた書いてますので、ネタバレNGの方は読まないようにしてください>
結婚カウンセラーのもとに、若い夫婦がやってきた。
夫の名前はジョッシュ。売れない作家でミニコミ誌の編集部で働いている。
妻の名前はナット。大手広告代理店で責任ある職務を担うバリバリのキャリアウーマンだ。
二人の訴えはひとつ「わたしたちの結婚生活は1年もたないかもしれない・・・」

さかのぼる事9ヶ月前。二人はパーティで一目惚れし、あっという間にゴールインした。
ざっくばらんで下世話なジョッシュの交友関係にナットの両親は不安を隠しきれなかった。
ハネムーンも済ませ、同居生活を始めるふたり。
最初は楽しいばかりだったが、だんだんとお互いのアラが見えてきて心の中に
もやもやした不満が溜まっていくのだった。
何事もキッチリとしてオシャレなナットは、インドア派で体裁を気にせず、
甘えん坊のジョッシュの自堕落さが我慢ならない。
一方でジョッシュは、なにかにつけイライラとして仕事優先になりがちなナットと
どうしても波長が合わない。
しかも結婚直後に、ジョッシュと彼の旧友であるクロエとの間に「一夜の過ち」が
あったことをダニーから聞き、ナットの不満は膨らんでいく。
なにしろジョッシュとクロエはあまりにも趣味やジョークの相性が良すぎるのだ。

そんなある日、大手石油化学会社の三代目社長であるガイがナットの会社に企業広告の
キャンペーン企画を委託してきた。成金一家の御曹司でありきたりなヤンキーだと
高をくくっていたナットだったが、その正体は経営学にすこぶる強い洗練された経営者だった。
未婚の若社長の機嫌を取ろうと、ナットの部下が彼女の結婚指輪を隠してしまう。
そうとは知らないガイは、一目見てナットの聡明さと美しさの虜になってしまった。
大きなクライアントを逃すわけにもいかず、ついつい既婚だと言いそびれてしまうナット。

自分にふさわしい聡明な女性を長年探していたガイは、自分のことをナットに知って
もらおうと自社工場に招待する。末端社員に至るまで家族のように接し、会社と経営を
愛するガイの誠実な人柄に思わずナットの心は揺れていく。
その頃、離れがちな妻に自分の理想を知ってもらうべく際どいランジェリーショップを
訪れるジョッシュ。しかし同伴したクロエの思わぬ可愛らしさに心をうたれ、
ついついキスを交わしてしまう。クロエは数年前の彼との交わした逢瀬のまま、
恋心を隠して友人付き合いをしていたのだった。
そして一方でナットは自分が既婚だとガイに打ち明けながらも、気持ちを抑えきれなくなり
道端で激しく彼と求め合ってしまう。

***

「あと三カ月(12月まで)もう一度がんばってみなさい」
カウンセラーにそう勧められた二人はお互いの生活や性格の不満を
乗り越えようと妥協点を模索し始める。

クリスマス前夜、偶然道端ではち合わせた4人。
ナットのことを諦めたくないとほのめかすガイ。略奪愛の危険を感じたジョッシュは、
未婚同士お似合いだとクロエとの縁談を持ちかける。最初は躊躇していたガイとクロエも、
お互いの人の良さもあって徐々に距離が縮まっていく。
やっとそれぞれの「落としどころ」を見つけたかに見える4人。
ナットとジョッシュの1年目の結婚記念日まで、あと数日に迫っている・・・。

<感想>
ボラットに代表される今までのダン・メイザー作品に比べると、ものすごくソフトで
キュートな仕上がりになってます。さすがバレンタインデー映画。
ただし監督ならではのオゲレツジョークやポロリは発動しますのでそっちを期待する
方々も裏切りません。
サイモンの役どころは、トレイラーの鳩シーンをみる限り勘違い間男野郎なのかと
思っていたのですが(それなんてプラダ)
実はとっても人間味のある誠実な男性で、まったく非の打ちどころない紳士でありました。
まさに器用貧乏というにふさわしい性格で、経営学ヲタでありロンドンのホテルに
長期滞在するに当たり、クリスマス・イヴだと言うのにセクハラ撲滅運動の資料を
持ち込んでいるような感じの、ちょっと不思議社長であります。だがそこがいい。

ナット率いる代理店ガールズチームは、ランチタイムにこじゃれたクル寿司屋
弁当を買うようなロンドンの街を肩で風切るハイソなキャリアウーマン軍団で、

「どうせ先代と同じようなロクデナシなんだから、テキトーにエコっぽい
緑色と黄色のフォントにヒマワリと蝶々のイラスト付けときゃいいのよwww」
「"awesome"(=まじで)を連呼して"HEY BABY"ってオースティン・パワーズ
みたいな喋り方する、残念な感じのヤンキーよきっとwwww」

って勝手な悪口を大声で話しているんですね。
これだから電通って。
しかしそのとき彼女たちの背後には、金色のフワフワした物体が・・・

igitay_guyNOBU.jpg
家政婦 七光り社長は(自分がdisられるのを)見た。

んでもってこれを逆手に、わざとアメリカヤンキー丸出しの態度でミーティングに
現るガイ。ナットが例のしょぼいロゴをドヤ顔で披露しようとした瞬間
「素晴らしいコンセプトだ。きっと君たちに任せれば緑と黄色のロゴなんて出すはずないね!」
と先制パンチを繰り出す。これがあの性格の悪いコンサルタントならもっと相手の
臓腑をえぐるようなイヤミを放つんでしょうが、ガイ社長はなにしろ誠意大将軍なのです(古い)

経営ヲタでもあるガイ・ハープ社長は、自分がありきたりなボンボンではないと
ナットたちに知らしめるため、
「四象限ストラテージの構造について」とかいう呪文を唱えて相手のHPを奪います。

かなりの恋愛体質であるらしく、母親のように慕う勤続43年のおばあちゃん工員からは
いつもロクでもない女の子ばかりに当たるとボヤかれているようです。
そんな喪男ならしょうがないなあ、ももぐみが貰ってあげてもいいですよ。
二度と家から出しませんがしょせん喪男なんだから文句はないですよね(だまれ

なぜか自分になびかずビジネスライクに徹しようとしているナットに猛アプローチを
かけるガイ。会社見学ではポイントゲットしたものの、
どうしてもホテルの部屋で商談する事を承諾しない彼女に
「ちっちゃい子猫が部屋にいるんだ。毛糸玉で遊ぶのがかわいいよ、見に来ない?」
という相手が幼女なら通報レベルのセリフで誘いをかけます。
純真無垢な乙女ならまだしも、相手はブラッド・ピットの汗つきパンツをジップロックで
保存していたローズ・バーン兄貴です。その装備では戦えません。
いやむしろ「毛糸玉で遊ぶぼくの姿を見に来ない?」なら爆釣だったのに。

しかしホテル内の個室へと誘うことに成功した社長。
早速、彼女を生牡蠣とヴァイオリンの生演奏、そして 生鳩 でもてなします。

igitay_dobe.jpg
クルッポー!

この鳩シーン、ダン・メイザー監督とサイモン・ベイカーのお気に入りのシーンで、
Blu-ray版にはわざわざ「シーン59:鳩」というメイキングの動画が収録されています。
ローズさんが鳥類苦手らしく、鳩が飛び交うだけで叫んでしまうお芝居にならない。
しかしサイモンは鳩の猛攻に耐え忍んで真顔を崩さず何テイクもやり直しします。

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頭の上で鳩が 交尾 暴れようともポーカーフェイスを崩さない。これぞ俳優魂ッ。

この鳩たちねえ、やたらサイモンの頭の上が好きでメイキングではお椀の中から
出てきたとたん鳩まっしぐらにあの金髪を目指すんですよ。
くそう好き勝手やりやがって。鳥になりたい。

それにしてもローズさんが"I Hate Bugs!"って叫ぶのはちょっと・・・
鳥好きの管理人としては心が痛むのであります。
サイモンが言うには「最初は鳩が飛ぶたびにキャーキャー言ってたのに、
しばらくしたら"ああ鳩ね、フン"みたいにあしらってたよw」だそうです。
我慢して芝居続けてたサイモンですが、最後に翼が顔面にクリティカルヒットし、
とうとうニヤッと笑って「殴られたよ・・・」呟いています。

ロケ現場はロンドン市内色々なのですが、上の画像でサイモンがランチを食べている
日本食レストランはNOBUのロンドン店です(2店舗くらいあるようです)
4人が合流するパブの前は昨年10月に立ち寄ったのですが、NOBUのスチールは
出たのが遅かったので行ってません・・・うーんいつかぜひ同じ席に!

本映画ですが、ブラック・コメディとはいえ相対的にライトな恋愛映画なので
徹底的にエグいものをお好みの場合はアテが外れるかもしれません。
なおサイモンは脱ぎません。 泣いていいかい。
結婚経験のある方なら、国や人種を超えて「わかり過ぎてつらいwww」
という微妙なニュアンスがてんこ盛りなのでぜひ日本でも公開してほしいです!
嫁いだ娘さんとお母さん二人とかで見に行くと、なんか盛り上がりそうな気がします。
これがバレンタイン映画ってのがすごいなーと、思わせる1作でした。


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サイモン・ベイカー 最新作"I Give It a Year"予告動画解禁!

ついにサイモン・ベイカーの最新作、ダン・メイザー監督"I Give it a Year"の
予告動画が公開になりました。
来年2013年2月8日UKを皮きりに公開されます。日本にね・・・来たらいいね・・(低音



<あらすじ>
野心家で活発なナット(ローズ・バーン)と悩める小説家ジョッシュ(レイフ・スポール)は
パーティ会場で意気投合。互いに正反対の性格・嗜好ながら二人はあっという間に恋に落ち、
スピード結婚してしまう。
ふたりのウェディングから1年が経とうとしていた。しかし互いの家族や友人、はては
彼らを祝福したはずの神父でさえいまだ二人が末永く続くとは思っていない。
そこにジョッシュの元カノ・クロエ(アンナ・ファリス)と、ナットのハンサムな
アメリカ人クライアント・ガイ(サイモン・ベイカー)が現れ、彼らに試練を与えていく・・・
はたして愛し合う二人はこの危機を乗り越え、無事に結婚1年目を迎える事ができるのか?!


IMG_1668.jpg
メガネっこ姿も披露するらしい。

まあ十八番というか安定の間男ぶりですね。
セクシー路線はイヤなのダメなの恥ずかしいのとか言いながらチャッカリ芸風は死守する。
日本よ、これがベイカアだ。

サイモン・ベイカー 出演”I Give it a Year”ロケ現場見学など

ごぶさたしておりました管理人です。

ちょっこしロンドンに行ってまいりましたです。
旅の目的は「007 スカイフォール」のロイヤル・プレミア・イベントを見学
することと、10月26日よりUKで公開の本編(007/スカイフォール)を見ること
(そしてイギリスの風・・・ではなく風邪をもらうこと)
でしたので、サイモンにもメンタにもあんまり関係ないのですが・・・

せっかくだから、今年春にサイモン・ベイカーがロケを行った
"I Give it a Year"の撮影場所を探してみよう!
・・・とゆーことで、現地でggったらこの写真の場所が宿泊地から地下鉄1本の
距離だったのでノコノコやってきましたよ。

この現場です。
IMG_0653.jpg

IMG_0649.jpg

つうか、ロンドン慣れてる人ならこの写真だけで場所特定できたんだろうな・・・
IMG_0775.jpg

というわけで、この場所ですがレスター・スクウェア駅から歩いて5~10分くらいの
SOHO地区にある"The Spice OF Life"という超有名なミュージック・パブの玄関先です。
お店に入る時間がなかったので、店内の撮影もあったかどうか未確認です・・・。

お店のHPはこちら。
The Spice of Life-Web site

Singin' in the Rain(雨に唄えば)を上演しているPalace Theatre(パレス劇場)
のお隣にあるパブであります。
サイモンの背後に写ってる黄色いポスターがそれですね。

spiseoflove_01.jpg
こんな感じです。

spiceoflife_02.jpg
HP見りゃわかるよって感じですが、店の看板入れた別アングル。

平日の朝っぱらから(でも飲んでる人はいる)スマホの写真とウロウロ見比べて
地面ばかり執拗に撮影している妙なアジア人はここにいます。聖地巡礼の参拝者ですから、
まわりの冷たい視線になんか負けません。(通報されなくてよかったね!

天下の観光都市ですから、他人(観光客)がなにしててもマア無関心ですわね。
とくに管理人はホビットなんで、存在すら見落とされがちですからね。

spiceoflife_03.jpg
似たような写真ばかりで済みません。俺得です。

そして唯一神サイモンがお踏みになった聖なる石畳(きたねえ)を靴の底で
ベロンベロン舐めまわしてきました。
正直言うと、寝転がって拝み倒したい気分だったのですが
すぐそばのテラスにお客さんがいましてね。いくらドラマや映画で大好きなスコットランド・ヤードでも
実際お世話になるのはごめんでしてね。

spiceoflove_04.jpg
映画のヒットを祈願して、胸熱しながら撮影したのでブレブレですみません。
デジカメ持ってないので、現地では全部iPhone撮影でした。

***

旅の本題はここのBlogではジャンル違いになるので、あまりご興味ある方もないかなあと
思いつつちょこっとだけUPしておきます。
こちらもブレブレの管理人クオリティでお送りしてまいります。

121023_007pre01.jpg
2012年10月23日、ロイヤル・アルバート・ホールで行われた、
「007/スカイフォール」ロイヤル・プレミアのダニエル・クレイグさん。

これでもやっつけで手ブレ補正したんすけどね。あとで補正アプリ探してみます。
ロイヤル、というからには王族がお越しになっています。
全招待客とキャストはとうぜんレッドカーペットの手前でリムジンを降りて歩くのですが、
全ての参加者が通過したあと、いったん警備体制が再装備され、
突然カーペットの上をさっそうと駆け抜ける王族車両とSP車両。
今回はプリンス・オブ・ウェールズ=チャールズ皇太子殿下と
コンウォール公爵夫人=カミラ夫人がお越しになられました。
お召し時のBGMはボンドテーマ。2012年はオリンピックの女王陛下ご登場に続いて、なんと
英国王族が2回もボンドテーマで市民の前に登場するという、「公式が一番怖い」の法則ですな。
いやあ、とんでもない国ですだ・・・いい意味で。

121023_007pre02.jpg
ダニエルからサインいただきました。当日じつは彼は風邪で高熱を出していたようで
なんどもハンカチで額を拭いていたようなんですね(わたしはレドカの最初あたり
だったので、まだそんな辛そうな雰囲気はなかったのですが、壇上に上がったあたりは
フラフラだったようで・・・)
そんな中でも、ほんと「一人づつ」っていう勢いでサイン写真コールに応対していました。
すばらしいメンタリティの俳優さんです。でなきゃボンド役は務まらない。

下敷きになっているユニオンジャックは、会場で配られたものです駅伝観戦みたいに
振ってくれと言われました。振りませんでしたが。
当日はSky―TVさんのYouTube中継があったので日本でもご覧になったかた多かったと思いますが、
規模の割にキャストと触れ合いの多いアットホームなイベントだったなあと思います。

ところで、このイベントでわたしのためにマイケル・G・ウィルソン氏のサインを
取ってくださった現地のコアファンがいらっしゃいまして、
こんな場所で日本語で言ってもしょうがないのですが、本当に心より御礼申し上げます。
「たのしく過ごせたかい?よかったね」っておっしゃってくれました。
もしかするとあれはサウス・ケンジントンに舞い降りた天使だったのかもしれません、
顔はトッポジージョみたいでしたが。(こら

マージン・コール(3):被雇用者たちの挽歌

ついにWOWOWにて、日本初放送日がやってまいりました!

みなさん、これ2012年アカデミー賞のノミネート作品なんですよ。

ただ単にキャスティングが無駄に銀河系の自主製作映画ってわけじゃないんだから!
もっと言うと単に金髪ポンパドゥールのもんすたぁ上司がトイレでファンサービス
してるだけの金融映画じゃないんだから!

映画「マージン・コール」に関する記事は過去に2つ上げていますので、
ぜひそちらもご覧ください。

記事:マージン・コール(1)  記事:マージン・コール(2)

そういうわけで、今回は映画「マージン・コール」のセリフなどから解説を
していけたらなあと思います。

1. ピーター・サリバンたち「理数系金融マン」mc_06.jpg
ピーター&セス「リストラの基準って、毛根の強さも関係あるんすか?!」

映画ではあえてこの呼称は避けられたんですけども「クオンツ」とも呼ばれる
理数工学系の金融マンたちがいます。おもに金融工学の理論を駆使して、
商品開発やリクス管理に従事するひとたち。ここが全くよくわからないのですが、
エリック・デイルのような橋梁のスペシャリスト、またはピーターが専攻していた宇宙物理工学
などが「うまいことこじつければ」金融工学に応用できるということなのです。

エリック、ピーター、セスの三人はリスク管理部門なので直接お客さんとセールスの
やりとりをする事はほとんどないと思われます(セスはウィルさんリスペクトでちょっと
トレーディングをかじっているようですが・・・)
一方で、バリバリの営業畑にいるサムやウィル、いわゆるトレーダーは彼らの理論が
保障する商品をお客さんに売りつけるわけですが、

そりゃあ「MIT卒の宇宙物理工学者が開発した商品」なんて言われれば、
中身が謎債権だろうがファービーだろうが、なんとなく買ってしまう気持ちも・・・わからん。

2.ジョン・トゥルド、そしてジャレッド・コーエン、サラ・ロバートソンのモデルmc_08.jpg

■ジョン・トゥルド
モデルは旧リーマン・ブラザーズ(LB)のCEO、リチャード・ファルド氏と言われています。
名前のもじり見ればわかるよって話ですが、この映画の舞台になっている投資銀行は
LBよりも小規模ですし、半年スパンの経緯を24時間に畳んでいるわけですから、
まったく同じ人物というわけではありません。
ファルド氏は実在の人物ですので、ここではあくまでLBのノンフィクションや暴露本など
からの情報を集約するに、
・金融工学には疎く、(とくに最終期には)細かい取引の推移には頓着しなかった
・豪胆で愛社精神の塊ともいえるが、一方で反乱分子には容赦がなかった
・雑用係であったヒラ社員からの叩き上げであり、30代にして重役へ昇進

など確かにジェレミー・アイアンズさんが演じたトゥルドを彷彿とさせる部分があります。
実際、アイアンズさんはファルド氏の証人喚問VTRを見て役作りをしたそうです。
ファルド氏にはその豪胆な性格から「ゴリラ」という異名がついていました。
じつはトゥルド役には当初、ベン・キングズレーさんがオファーされていたのですが、
スケジュールとギャラの調整が上手くいかずキャンセルになったそうです。
んではファルド氏の実物に一番ルックスが近いのは~と言うと、BBCのテレビ映画
「リーマン・ブラザーズ最後の4日間」で彼を演じたコーリイ・ジョンソンは激似です。
演出はちょっとテンパり過ぎと言う気もしますけどね・・・

■ジャレッド・コーエン
コーエンという姓はユダヤ系のとても古い男系血族だそうです。
ちっともそんなルックスに見えないですね。(アイルランド系にもこの姓があるそうですが)
mc_09.png
そういや、世間的に「じゃれっどこーえん」と言うと、ジャスミン革命の発端になった
元Googleのエージェントさんが有名なんですね。で、この人昨年ご自身のツイッターで
「おれと同じ名前のキャラクターが金融映画でバンカーやってるみたいなんだけど?」って
呟いてました。アメリカではとても有名な方なので、映画製作側に何か意図があるのかと
思ったのかもしれません。なんでだろうね?チャンダー監督に聞いてみたい。

ジャレッドのモデルは監督からは特に言及がないですが、
トゥルド会長の 腰ぎんちゃく 愛人28号 じゃねえや右腕という役どころからするに、
LB社のNo,2であったCOO(最高執行責任者)のジョゼフ・グレゴリー氏ではないかと思います。
ファルド社長が直々に引き抜いたまさに社長の分身ともいえる人だったそうで、
倒産直前にはこの二人が完全に経営のかじ取りを握ってしまっていたとも言われています。
また、自身や社長の障害になると判断した人物は即座に左遷したり辞任に追い込むなど
辣腕かつ強権だった(ってOBやクビになった社員の手記には書かれています)

■サラ・ロバートソン
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ハリウッドに蔓延する黒ぶち病。

サラのモデルとも言われるタチアナ・セガール氏はニュースにもなったのでご存知の方も
多いと思いますが、逆にこれマージンが上映されてから「ウォール街のデミ・ムーア」
なんて呼ばれているわけです。
この方は最高リスク管理責任者(CRO)というポストをトレンド化させたキーマン的な
存在として知られています。サラのように元いた古巣で不動産担保証券の危険性に
早くから警鐘を鳴らしたものの、真面目に取り合ってもらえず会社を去って行ったという
過去を持っているのですが、その後のリーマン・ショックなどを経てそのキャリアが注目され、
今では売れっ子CROとして沢山の金融会社役員を歴任しています。

つまり、サラがセガール氏をモデルとするならば、この投資銀行での苦い経験と、
自分の先見の明をアピールしてウォール街での新たな地位を築き、
時の人として脚光を浴びてたくましく生き残るという含みを持たせていることになるのです。

いっぽう彼女を辞任させることで首の皮一枚つながったジャレッドですが、
LB社のいよいよ危機を迎えた決算期に、古参の幹部や管理職(サムたちのことですね)が
一致団結してファルド社長に引責人事をするように要請するという内紛事件がありました。
この時、ファルド社長は「いっそ私が辞任すればいいんだろ」と嘆いた逸話がありますが、
けっきょく№2であるグレゴリー氏に突然の辞任要請が出たのです。
この時彼は「まさか社長がわたしにそんな要求をなさるとは」と愕然となさったとか。

これジャレッドで想像してくださいよ。

逆に言えば、アメリカではLB倒産までの経緯というのが日本よりもよく知られているので
(ライブドア事件の顛末のようにですね)ジャレッドの 高嶺の花 高慢と偏見に
満ちた態度や、サラを前にして余裕ぶっこいた態度を見ながら
「いまに泣きを見るのはお前のほうだカワイイ金髪め、ひいひいいわせたr」
って思いながら見てる観客も少ないくないわけです。

mc_jared4.png

なんつうか、マージンに関しては書いても書いてもウンチクですな。

まあそんなコ難しい話でもないので、みんなで夢の銀河系投資銀行に行って
眼福しようじゃないの!見ようぜWOWOW!

ちなみに後日放送の吹替え版ジャレッドはウォール街に舞い降りた天使どころか
あまりにドスの効いたその喋りがまったくもってミナミの帝王であり、高級スーツの
裏地に不動明王が刺繍されているとしか思えない仕様になっております。お楽しみください(泣)

マージン・コール WOWOWにて9/28初放送!

サイモン・ベイカーさん出演、映画「マージン・コール」が
WOWOWにて初放送されます!
わーいわーい夢だけど夢じゃなかった!

「マージン・コール」
WOWOW 2012年9月28日(金)21:00~ (リンク:WOWOW作品紹介ページ

専門用語が飛び交うストイックでそれなりに小難しい映画なので、できるだけ簡単に説明します。

986309570.jpg
こういう映画です。

プロフィール

すう。

Author:すう。
別名ももぐみ。べいかあ教徒として日々修行を送っているつもりの永遠の4歳児。
唯一神おさいもんをあがめ、いい子になろうと血道をあげています。

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